心療内科全般|埼玉県さいたま市大宮区 心療内科|心と体のクリニック


心療内科全般

心療内科全般

さいたま、心療内科の入院事情

「体調が悪い。大宮か、それがなければさいたま付近の心療内科に入院をしたいので紹介してほしい」という依頼がときどきあります。気楽に応じてあげたいのですが、そう簡単ではないのが実情です。
まず、さいたま付近には心療内科の患者さんを主に受け入れる施設はありません。そこで、ではどうしているのかという現状をお話します。
まず体調不良の場合は内科系の病院にお願いするという方法があります。しかし内科の場合、明らに身体疾患と思われる症状や、異状値を示す検査結果がない限り、なかなか入院を受けてくれません。せいぜい「検査目的入院なら可能です」と言われる程度でしょう。その場合入院しても検査が終われば退院を迫られることになり、療養というものからはほど遠い入院となりかねません。
次に精神科にお願いするという方法です。ところが精神科によっては「私たちの病院はこういう病気や症状の患者さんに限定して受け入れています」という暗黙の?了解事項があります。ですからどこの病院でも紹介できるわけではないのです。特に心療内科領域の病気の場合、なかなか適当な病院が見つからないことが大半です。  ただし、最近は仕事のストレスなどでうつ状態になった患者さんを対象にした病棟を施設も見かけるようになっています(一部は心療内科を併設しています)
なお当然ですが、統合失調症や重症うつ病、躁うつ病、アルコール依存症などの、精神科領域の患者さんの場合には、受け入れ可能な精神科の施設はあります。
では、どうしても心療内科の入院が望ましい場合や、患者さんが心療内科での入院を強く希望する場合はどうしているか、といいますと、摂食障害(主に拒食症)の場合はさいたま市内でお願いできる施設があり、まずそこにお願いしてみて、だめなら都内の病院という順番にしています。ただどこも入院可能な人数が少ないなどの事情のため、患者さんに不便な思いをさせているのが現状です。

心療内科。春になると増える病気は?

例年のことですが、春になると心療内科を訪れる患者さんが増えます。そうなる一つの要因としては気候の変化があります。春は低気圧と高気圧が交互におとずれ、変化しやすい状態になります。昼夜の気温差も大きくこうした気候に体がうまく順応しにくいからでしょう。
また日照時間も関係ありそうです。それというのも最近、春ホルモンとよばれる、日照時間によって誘発される物質が脳下垂体にあることがわかり、精神的な病気との関連が注目されているからです。
もう一つの大きな要因は環境の変化でしょう。年度が変わる春は、自分や家族などが入学や就職、異動、退職、転居といった人生の転機を迎え、環境が大きく変わることが多いからです。新しい生活や人間関係が始まると誰しも程度の差はあれ緊張しますし、ストレスもたまります。注意してほしいのは、昇進や家の購入といった喜ばしいことでもストレスになることです。要するに人間は変化に弱いのです。
では春はどんな病気や症状になりやすいのでしょうか。心療内科で多いのは自律神経失調症(身体表現性障害)です。春はめまいや肩こり、疲労感、頭痛、不眠などを訴えで受診される方が増えます。これらは自律神経が関係しているとされています。
ストレスや疲労などが大きすぎると、自律神経のバランスが乱れてしまい、その結果、心身にさまざまな不調が現れるというわけです。
ではこんなとき、どうしたらよいのでしょうか。まずやることとしては寝る時間や起きる時間、食事の時間などをできるだけ規則正しくし、無理をしない生活を心がけることです。自律神経失調症は日によって症状が変化しやすいという特徴もありますが、生活が不規則だと自分で自律神経のバランスを乱してしまうことになりかねません。
春はうつ病も多くなるようです。たとえば自殺はうつ病と大いに関係あるとされていますが、厚生労働省の人口動態統計によると月別にみた自殺は多くの年で4月か5月がピークになっています。うつ病も気候や環境の変化に大きな影響を受けるようです。うつ病の症状として多いのはおっくう感やいらいら、焦り、不安感、集中力低下、抑うつ気分などの精神症状や、食欲不振、夜中や早朝に目が覚めるタイプの不眠、便秘などの身体症状などです。

 


ストレス

年代別、男女別ストレス

心療内科を受診する患者さんにとってストレスとなる事柄で比較的多いものを年代別、男女別にあげると以下の表のようです。これは私が患者さんの話から推測したものですが、心療内科受診者に限らず、普通の人が抱えるストレスでもあるようです。
なお表では省きましたが、心療内科の患者さんにおいては、性別や年齢に関係なく症状自体が一番のストレスとなっています。症状がストレスという人には二通りあります。一つははじめから症状をストレスとして感じるもの。もう一つは当初はストレスのせいで症状が出たのだが、その症状が長引くことで、今度は病気や症状自体がストレスになるという場合です。

〔年代別、男女別 ストレスとなる事柄〕
  女性 男性
60歳代~ 夫、嫁、死別 退職、無趣味、死別
30歳代~50歳代 人間関係、家庭 仕事、収入
20歳代 職場、恋愛、姑 職場
10歳代 学校、仲間 学校

以下、少し説明を加えていきます。

60歳台以上のストレス

a 夫の存在が悩みの種(女性)

60歳台女性が抱えるストレスとして、よくあるのが「夫」です。夫が会社を定年退職をしたとき、妻が「ご苦労さま。これからは二人で楽しくやりましょう」と無条件で歓迎するとは限りません。残念ですが、「夫が昼間から家にいるようになり、ストレスがたまる」と感じる妻が少なくないようです。現実問題として、妻にとっては、食事の支度などの家事の負担が増えるうえ、夫が家にいると昼間、自由に行動しにくいのです。
それに加えて、いざ定年を迎えてみると、夫と妻、それぞれが定年後の生活として描いていた姿の違いもはっきりするため、失望したり悔やんだりしがちになります。
長年一緒に暮らしていても老後の生活について、じっくり語り合う機会を持ってこなかった夫婦が多いということなのでしょう。そうなるのはもろろん、将来が見えにくい今の時代背景も関係してるとは思いますが、要するにあまり考えたくない話題でもあったため、十分検討することなく定年後の生活を迎えることになったのでしょう。
ところで、退職して「妻がストレスに感じるようになった」と語る男性はまずいません。いたとしても「以前より妻が口やかましくなった」と軽く不満を述べる程度である。男性の場合、家庭の悩みを口外する習慣を持たない人が多いという事情も一つにはありそうですが、実際的にも悩みの種とはなりにくいようです。だいいち、妻は夫の定年よりもずっと前から家にいるので、家にいる妻の存在がことさらストレスにはならないのでしょう。また、定年になっても家庭での役割が格段変化するわけでもないからなのでしょう。

b やることがない(男性)

男性の悩みで多いのは退職後「やることがない」というものです。仕事をしているときには考えもしなかったが、いざ定年を迎えて会社を離れてみると、趣味もなく、親しくできる友人もいない自分を発見するようです。おまけに「それでは何か仕事でも」と思っても適当なものを見つけるのは至難の業という現実があります。
やることがないという悩みは単に「退屈だ」というだけでなく「自分の価値がなくなった」とか「生き甲斐がなくなった」という悩みにもつながります。結果として仕事によって支えられていたものがいかに大きかったか、今更のように気づくことになります。
話は脇道にそれますが、私は、せっかく社会で活躍していたのに、一定の年齢になったとたん仕事をしたくても適当なものが見つからないという社会は変だと思います。
老いは徐々にしかやってこないので、急に「商品価値」が無くなるはずがないからです。
農業など、定年がない仕事に就いている人は、高齢で不自由となった体をかばいながらも毎日、仕事をしています。「やることがない」と嘆くのは元サラリーマンが大半です。体力や気力、能力が多少衰えるにしても、長年培った経験は貴重な「資源」です。本人が希望すれば、いつまでも過去の経験を生かして働ける社会システムができないのものかと思います。
もっとも、男性は女性に比べて環境の変化への適応力が低いのも事実です。高齢になっても友だち付き合いや趣味、旅行などを楽しんでいるのはたいてい女性で、「やることがない」と悩むのは圧倒的に男性です。

c 死別(男女)

一番強いものだといわれています。当たり前のことながら、夫と妻のうちどちらかが先立ち、どちらかが残されることになります。配偶者に先立たれると、残された側は一時的にうつ状態になりやすいです。
ただし、うつ状態の程度や期間は男女で差があります。通常は男性の方が女性よりも抑うつの程度が重く、またいつまでも続きます。また「夫に先立たれた妻」よりも「妻に先立たれた夫」の方が命が縮まるという報告もあります。なぜ男性の方が重症になるのか? それにはいくつかの理由がありそうです。
まず、男性は食事の支度や洗濯、掃除などを主体的にやった経験がない人が多いという事情です。したがって配偶者を失うと日常的な生活基盤を失います。おまけに男性は妻以外の話し相手が身近にいない場合も多いからでしょう。
これに加え私はもう一つ理由があると考えています。それは死別体験の衝撃の程度です。恋愛物語はだいたい女性が主役になるので、パートナーとの死別は女性の方が痛手になると思いがちですが、私は事実は逆で、男というのもは女よりも情緒的なつながりを強く求め、それだからこそ死別体験の衝撃が強く、そして長引く、と考えています。
真偽はさておいて、交遊関係が狭く、これという趣味もない人はうつ状態からなかなか立ち直れません。長期にわたるうつ状態は免疫力低下にもつながり、さまざまな病気にかかり易くなるだけでなく、死期をも早めるようです。

30歳台~50歳台のストレス

a 人間関係──「子供がらみ」や職場(女性)

女性が悩むのは、PTA活動など子供がらみの付き合いや、職場などでの人間関係でです。子供がらみと職場を比べてどちらがストレスとして強いかというと、子供がらみです。職場の人間関係は「辞めればすむ」が、子供がらみの付き合いは引っ越しでもしない限り、いつまでも続くからでしょう。
ストレスの種となる内容自体は、他人が聞くと「なんでそんなことで悩むの?」と言われそうなものも少なくありません。しかし、本人にとっては深刻な悩みです。この年代になっても「シカト、ハブセ」「嫌がらせ」など、小中学生が遭遇するような問題で悩んでいる女性もみかけます。

b 家庭(女性)

家庭内の悩みも少なくないようです。一番多いのは子供に関するもので、不登校や子供の性格についてです。次に多いのは夫で、夫の言動が耐えられないとか、夫が家庭を省みないといった悩みである。また夫の借金やギャンブル、働かないこと、暴力(DV、ドメスティック・バイオレンス)、浮気なども少なくないです。
余談になりますが、私には何人かの占い師の知人や患者さんがいます。その人たちに「依頼される相談で一番多いのは?」と尋ねると、決まって「主婦による(自分の)不倫の相談」と答えます。心療内科の場合、自分の不倫に悩んで受診する人もいないわけではないですが、稀です。不倫が受診動機になる場合はほぼ全員が「夫の不倫」で、離婚が現実的な問題となるなど、深刻な事態になってからの相談も多いです。

c 仕事(男性)

男性の悩みの大半は仕事がらみです。長時間労働などで「体が辛い」と受診する例もあます。この場合、原因がはっきりしているだけに心療内科を受診しても気休めにしかないと本人も分かっています。それでも少しでも楽になりたいと思い受診するようで、その意味では切実です。 
身体的な辛さよりも、上司とのあつれきなどの精神的なストレスに悩み受診する例の方が圧倒的に多いです。時代の流れといってしまえばそれまでですが、かって日本の会社には互いに励ましたり、労ったりなど、疑似家族的なシステムがありました。
しかしそうしたものはとっくに崩壊し、今では一人一人の能力や会社への貢献度が厳しく問われ、これもストレスになっているようです。
また、不況の影響を直接受けるのもこの世代です。降格人事や減収、転配などは、経済的な問題だけでなく、その人を支えていたプライドまで奪いかねません。
ところで昇進など、本来なら喜ばしいことが負担に感じて受診する人もいます。
それまで自分のことだけ考えれば済んでいたのに、今度はリーダーとして他の人のことまで気を回す必要が生じるからです。

d 介護(男女)

介護の問題で悩むのは40歳台後半より後の男女です。この年代になるとその両親は高齢です。とくに親と同居していない場合は「いつかはやってくる問題」であっても検討すること自体を先延ばしにしがちです。このため、親が病気になると、急に深刻な問題として降りかかることになります。今まであまり交流の無かった兄弟姉妹や義兄弟姉妹と「誰が親を世話をするのか」でもめるなど、介護の問題は思わぬところにも飛び火します。
さらに施設などを利用しても問題が解決するわけではありません。経済的負担も生じますし、評判の良くない施設があるのも確かです。また当人(親)の不満や、不十分にしか対応できないことで心が痛めている人もよくみかけます。 
介護にたずさわる当事者はそれでなくても大変なのに、家族や親戚などの周囲の協力がなかったり、理解に欠けるため、心身とも疲労困憊している例もみかけます。

20歳台のストレス

a 職場(女性)

20歳台の女性の悩みで多いのは、職場の上司や同性の同僚とのトラブルです。上司の場合は「責任逃れをする」「ささいなことに口を出す」など、上司の性格に由来するストレスが多いようです。セクハラで受診する例もります。同僚がストレスとなる場合は、厭味や陰口、仲間はずれなど、仲間どうしの協力関係が持てないための悩みです。 
職場の人間関係で悩んで受診する人は、二通りに分かれます。
一つは社会人になる前から何度も類似の不快な体験をしている人です。この人はストレスで悩むだけでなく、自分にも非があるのではと自分の性格についても悩みます。
もう一つは会社に入るまで人間関係で悩んだ体験がない人です。このなかには好きになれない人とどう付き合うか、といった社会人なら誰でも味わう問題で苦しむ人もなかには見かけます。
学生時代には「嫌な人とは付き合わない」など、好き嫌いを基準にして行動してもよかったのに、社会人になってガマンして付き合うという事態にとまどうようです。

b 恋愛(女性)     

この年代では恋愛が悩みの種となるのは当然である。もっとも、通常は恋愛問題の相談相手は友だちや人生の先輩なので、心療内科を受診する人の悩みは深刻なものに偏ります。たとえば人間としての常識を疑うような「彼の裏切り」であったり、恋愛依存症とでもよぶべき「別れたほうがいいとわかっているのに、彼と縁が切れない」 問題です。また将来、結婚して生活を共にしたときに悩みの種となりそうな、自分や彼の「性格や習慣」に関する相談も見かけます。

c 嫁姑(女性)

嫁姑の問題で悩む女性は結婚して間もない人に多いようです。ただし、数十年前には多かった「同居の姑による嫁いびり」という例は今はほとんど見かけません。大半はもっと些細なことです。たとえば、夫の母親に「うちの息子はこういう点があるので気をつけてほしい」と言われたり、家事や子育ての注文を付けられるのが妻(嫁)にとってはストレスになるようです。
夫となる人なら、交際期間中に相手がどんな人かそれなりにわかっています。しかし夫の両親の性格まで検討して結婚することは稀で、たいていはちょっと知っている程度の関係でしかありません。このため、お互いの性格が把握できてないうえ、世代の相違もあって衝突するのでしょう。もっとも、徐々に距離が取れるのか、結婚して年月が経つほど姑の問題で受診する女性は少なくなります。

d 男性はさまざま

20歳台の男性のストレスは傾向がつかみにくいです。しいていえば職場の悩みが多いのですが、その内容は「仕事量が多い」「仕事が合わない」「職場で自分が評価されない」などさまざまなうえ、「漠然とした将来の不安」など、抽象的でわかりにくいものまであるのが特徴といえます。
女性と比べて恋愛の悩みで受診する人は少ないです。ただ、彼女の心変わりなどによる失恋や三角関係、「恋愛したいが相手がいない」といった通常の?悩みで受診するケースは女性では稀だが男性では少数ながらみかけます。これも時代の反映なのでしょうか。

10歳台のストレス

a 仲間、学校(男女)

男女とも、小学校から高校にかけての悩みの大半は、友人やクラスメイトがらみです。この年代の子供たちは「キモイ、ウザイ」など、平気で人を傷つける言葉を吐きます。また「ムカツク、頭にくる」など、自分の気持ちをストレートに表現します。
その意味で「自己チュー」です。ところが、その一方で、仲間との関係は痛々しいほど気にします。
たとえば女子はクラスでは二人から五人程度のグループを作っていることが多いのですが、その中で排除されることを極端に恐れます。したがって「あの子、ウザイね」など、その場の空気や力関係で一瞬のうちに決まった根拠のない結論に異議を唱えたり、是非を議論することはしないようです。こうしてシカトやイジメにあう犠牲者が出現することになります。
「学校に行けない」という悩みを語る女子の大半はこうした犠牲者です。学校に行けなくなった彼女たちは、無理をして教室に戻っても、他のみんながどこかのグループに属しているなかで、一人で休み時間や昼食時間を過ごさなければならない孤立感に苦しみます。ただし男子の場合は、不登校の原因がはっきりしない例も少なくないようです。
小学生など低年齢では「クラスでの問題のため学校に行けない」など、直接的に言葉で悩みを語らず、代わりに「学校に行こうとするとお腹が痛くなる」など、ストレスが腹痛や下痢など、体の症状となることも多いです。したがって体の症状を訴えたときには、周りの大人は体の病気ではないかと考えるだけではなく、何らかのメッセージではないかと注意する必要があります。もっとも初めは悩みのため、学校に行けなかったのが、しだいに「体の症状のために学校に行けない」状態に変化することもあるし、身体症状が軽くなるだけで学校に行けるようになることも多いので、症状が軽くする治療や工夫は不可欠でしょう。

 


ストレスを感じない人がいる?

「ストレスはない」と語る呑気症のAさん

どうやら、ストレスは人によって感じ方が違うようで、極端な場合にはストレスを自覚しない人すらいるようです。こんな例がありました。40代の女性A子さんは、お腹の張りと痛みが一年以上続き、消化器科などに通院するも改善ないため、私のクリニックを受診しました。
Aさんの症状は、朝はさほどでもないのですが、徐々にお腹が張ってきて、夕方一番ひどくなる。ただし仕事をしない日は少し程度が軽い、というものでした。
呑気症というのは、空気を少しづつ呑み込むため、お腹の張りや痛み、おならなどの症状がでる病気です。
ストレス関連性の病気とされることが多いのですが、Aさんは思い当たるストレスはないと言います。「家庭はうまくいっていると思いますし、仕事も特に大変だと思ったことはありません。ただお腹が張って痛いので、仕事に集中できないのには困っていますが」とのこと。
呑気症は薬で速やかに改善する人がいる一方、いろんな薬を試してもなかなか良くならない人がいるなど、治療効果に個人差が出やすい病気です。
Aさんの場合、三カ月間、さんざん薬を変えてみたのですが一向に改善しませんでした。子宮筋腫などで類似の症状になることもあるため、念のため婦人科にも受診してもらったのですが、婦人科的な問題はない、とのこと。

急に良くなった理由は?

なかなか改善しないが、これという良い方法も思い付かない・・・。そんなある日、Aさんがニコニコしながらは診察室に現れ「すっかりよくなりました」と言う。良くなった理由を尋ねると「自分でわからないのです。ただ、子供の塾の時間帯が変わり、送り迎えの都合上、仕事を辞めたのです。そうしたら辞めて何日もしないうちに良くなった。確かに従業員同士の小さな揉め事がよくあった職場でした。でもそれがストレスとは思ったことは無かったけど、どこかで気になっていたのでしょうか」と言う。
ストレスは本人が自覚しない限り、分かりにくいものです。ですからAさんの場合も、良くなった本当の理由はわかりません。
ただ呑気症の人は自分の気持を「呑み込む」人が多いとされています。「呑み込む」というのは、言いたいことがあっても、ぐっと我慢しするという意味です。おまけに自分が我慢していると自覚しない人が多いのです。だから自分では「ストレスはない」と感じることが多くなるのでしょう。
呑気症だけでなく、心療内科の患者さんには「ストレスを自覚しない人」が意外なほど多いという印象を私は持っています。
ストレスにあまり敏感になるのも考えものですが、症状が長引く場合には「自分にはどんなストレスがあるのか」と振り返ることは症状改善のためにも必要でしょう。


薬の副作用

薬と副作用(その1 抗不安薬)

患者さんの質問で多いのは薬、とくに副作用に関するものです。最近はネットなどを調べてかえって不安になっている人も見かけます。しかし薬は処方通りに服用する限り重篤な副作用の心配はありません。
以下、当クリニックで良く使用する薬と、服用し始めた初期に出やすい主な副作用について述べておきます。

まず抗不安薬です。これは精神安定剤ともいわれるものです。不安や緊張に対して処方します。当科でよく処方する薬としてはリーゼ、デパス、セパゾン、レキソタン、ワイパックス、コンスタン(ソラナックス)があります。これらの薬は作用時間が半日程度なので、一日2-3回、食後に服用するか、不安や緊張時の屯用薬として使うことが多いです。
これに対してメイラックスは24時間以上効果があります。また不安や緊張だけでなくメマイなど自律神経失調症に対しても効果があります。
抗不安薬によくある副作用は、頭がぼーっとしたり眠気が出やすいことです。またふらつくという人もいます。これらの副作用は服用を開始した初日か二日目に出やすいのが特徴です。
この場合の対策としては薬を減量するしかありません。ただし数日も服用していると副作用が減ってくることが多いようです。なお、上に挙げた以外の副作用が出るようなら、電話などで問い合わせてください。

薬と副作用(その2 抗うつ薬)

当クリニックで良く使用する抗うつ薬は以下のようです。

  • SSRI : パキシル、ジェイゾロフト、ルボックス(デプロメール)
  • 三環系抗うつ薬 : アモキサン、アナフラニール、トフラニール、トリプタノール
  • SNRI : トレドミン、サインバルタ
  • その他 : テトラミド、レスリン、リフレックス

15年ほど前までは抗うつ薬といえば三環系抗うつ薬だけ、といってもよい時代でした。三環系抗うつ薬は今でも使われるのですが、口の渇き、便秘、ふらつきなどが出やすいという欠点があり、当クリニックでも初診患者に処方することは稀です。
最近ではどこの心療内科、精神科でも初診患者には副作用が少ないとされるSSRIを使うことが多いようです。もっとも副作用が少ないといっても、服用を始めた2-3日は吐き気や眠気などが出やすいようです。当クリニックでは少量から始めたり副作用止めとして胃の薬を同時に処方することで対応していますが、それでも1割程度の人には服用をためらうほどの副作用が出るようです。そんなときは電話などで服用を続けるかどうかを問い合わせてください。
なおSSRIは世界的にも非常に良く使われる薬のため、ネットを見ると数えきれないほどの副作用情報が記載されています。もし気になるようなら自己判断で薬を中断せず、直接相談してみてください。
SNRIは、SSRIと三環系抗うつ薬を両方組み合わせたような薬です。副作用もSSRIや三環系抗うつ薬のどちらにも近いものが出ますが、もっとも良くあるのは胃のむかむか感でしょうか。これも数日で軽減するはずですから、あまり続くようなら問い合わせてみてください。
抗うつ薬の場合、薬を飲んでも効果が出るのに1週間-1カ月かかります。したがって、服用当初は「まったく効かない。それなのに副作用は出る」という状態になりがちです。抗うつ薬での治療はこの時期をいかにしのぐかというのが一つのポイントになります。

 


健康への王道は快眠、快食、快便そして生活リズム

体調がすぐれないと、病気ではないかと心配したり、良い健康食品はないかといったことに関心が向きがちになります。それも必要かもしれませんが、その前にまず睡眠、食事、排便そして生活リズムの四つを見直すべきです。
1)睡眠
 疲れやすいと感じている人はまずは自分の睡眠状態を振り返ってください。チェック項目は入眠困難、中途覚醒そして早朝覚醒の有無です。
入眠に関しては布団に入って30分以内には眠れるかどうか、です。それ以上は入眠困難の部類に入るでしょう。
中途覚醒については、一度ぐらいは夜中にトイレに目覚めることがあっても、その後速やかに再び眠れるならば問題ないでしょう。しかし夜中に何度も目覚めたり、いったん目覚めた後、再び眠るのに時間がかかるのは問題です。
早朝覚醒とは、自分が起きようと思う時間よりもずっと早く目覚めてしまい、そのまま朝を迎える状態です。さらに昼間に眠気が強いのも要注意です。
こうした状態は速やかに改善した方がよいでしょう。そのために自分でもやれる工夫を紹介します。まずは布団に入る時間と起きる時間をできるだけ固定しましょう。次に入眠困難がある場合、寝る前の飲食や、覚醒につながる行為や考え事を避ける工夫をしてみてください。また入眠前はお風呂で体を温めたり、ストレッチなどで筋肉をゆるめると寝つき易くなります。
 尿意で夜中に目覚める人は、せめて寝る前2時間は水分を控えましょう。中途覚醒の人は布団や枕についても見直してください。
これらの努力をしても改善しない場合は睡眠薬などを使ってリズムを取り戻すことも必要でしょう。睡眠は一種の習慣です。たとえ薬を使っても、いったん身についた睡眠障害という悪い習慣を正常化することは、健康な生活を取り戻すためにも必要だと考えます。
(2)食事
二つ目は食事です。チェック項目は食欲と、美味しいと感じるかどうか。さらに偏食になっていないかどうか、です。
 食欲がないときは胃に負担が少ない食物をゆっくり時間をかけて摂りましょう。少し物足りないぐらいの分量の方が、食欲や味覚を回復させるのには役立つようです。  なお、美味しいと感じられないが仕方なく食べているといった状態が続いたり、これという原因がないのに体重減少が続くようならなら、一度、消化器の検査をすべきでしょう。
(3)排便
 三つ目は排便です。三日以上便が出ない状態が慢性化している人、泥状便や水様便が続く状態は好ましくありません。
便秘は、バナナなどの繊維質の多い食物を摂ることに加え、便意があっても無くっても朝など決まった時間にトイレで排便を心がける、といった排便習慣を身に付けることで改善が期待できます。
なお、体質的な便秘症というのもあるので、薬局で購入した下剤を少量使うのはやむを得ないでしょう。もっとも通常量を越えた量を服用しないと毎日便が出ない人は、内科や消化器科で相談してみてください。
 また下痢、特に水様便が慢性化している人は、下痢止めを使って一時しのぎをするよりは、原因を探すためにも内科や消化器科を受診しましょう。
(4)生活リズム
四つ目は生活リズムです。人間には24時間のリズムがあります。たとえば体内ホルモンの一つであるコルチゾールは24時間の周期で増減します。ですから毎日同じ時間に寝起きしたり、食事を摂ることは人間固有のリズムを崩さないという意味でも重要です。
 なお仕事の都合などで昼夜逆転の生活を余儀なくされている人もいると思います。そんな人でも寝る時間、起きる時間をできるだけ固定しましょう。たとえば仕事がある日は朝寝て夕方起きる生活になり、仕事が無い日は夜寝て朝起きるという生活を続けるよりは、仕事の有無に関係なく同じ生活リズムが望ましいでしょうか。もっとも休みの日でも朝寝るという生活にすると、今度は友だち付き合いに支障をきたすといいった別の問題が生じるかもしれません。

 


無気力、どうすればよいか

やる気が出ない、気力が湧かない、という状態はうつ病でよく見かけますが、もちろん健康な人にもあります。ここでは健康な人や軽症のうつ状態の人における無気力について述べます。
 なお無気力と無気力症候群やアパシー、五月病といった病態と関連させて語ることが多いようですが、ここでは無気力な状態をどうするか、に絞ることにします。  無気力の状態は、当人には苦しいものです。というのは「これではいけない。なんとかしなきゃあ」と思っているにも関わらず、そうなれないからです。したがって頑張れない自分を情けないと感じ、自分を責めることも少なくありません。その一方、周囲からは「怠けている」と思われる可能性もあるわけですから、なおさら当人にとって辛いものです。

1.まずは休養
 特に何かを達成した後に襲っている無気力や、挫折や喪失に伴う無気力に一番よい薬は休養です。
 これまで多忙な生活を送ってきた人の中には、休養することに強い抵抗感を感じる人がいます。「ここで休んだら取り返しがつかない」「二度とがんばれなくなるのでは」といった気持になるようです。
 また挫折感を感じている人は、休養することでもっと落ち込むのでは、と考える人もいます。さらに死別や離別、リストラといった喪失体験に伴って無気力になった人は、悲しみや嘆きなどの強い感情に翻弄されてしまい、休むこと自体が困難な人もいます。
 しかし、そうであるからこそ、ゆっくり寝たり、体を休めることが必要なのです。
2.「飽き」た感じが出れば次のステップ
 ある程度、十分休養すると、自然と「飽きた」「退屈だ」という気持が湧きます。この感覚が出たときは、「自分の体」は何かをやりたかっている印だと理解しましょう。つまり次に何かをやる準備が整ったのです。「退屈しのぎができるもの何か」という発想で次の行動に移りましょう。行動の中身は自分なりに思いついたことで構いませんが、どうしてもアイデアが浮かばないなら、以下の3~5のどれかを選んでください。
3.生活リズムの見直し
 無気力状態が慢性化している人もいます。休養は大事ですが、あまり長い休養も好ましくないでしょう。無気力になった原因とも関係しますが、たとえば強いストレスとされる、退職や離別や死別、大きな病気といったものでも休養のメドは三カ月から半年でしょう。
 それぐらいの期間が経つと先程述べた「飽きた」感じが出るものですが、なかなか「飽きた」感じにならず、いつまでも無気力状態のままなら、やはり何らかの工夫が必要でしょう。
 そんなときの手始めは生活リズムです。シンプルで実行が容易なものがいいでしょう。寝起きや食事の時間を整えるだけでも、やってみると違うものです。
4.小さな楽しみ、充実
 無気力状態になっている人ほど不思議と「やるからには何か意義があることを」と考える傾向があります。もちろん意義ある何かをやるのは大賛成なのですが、気力が出なくて困っている現状を認め、もっと目先のささやかなことから始めるべきでしょう。
 「その目先のささやかなことが見つからない」と反論する人もいますので、具体的な例を挙げてみましょう。たとえば「何もやりたくない。テレビは付けっぱなしにしているが、見ているわではない」という人は少なくないと思います。
 そんな人でも、つい見入ってしまう番組が一つぐらいは見つかるものです。そんなとき、同じような他の番組を当たってみましょう。スポーツでもお笑いでも、マニアックなもの、何でもいいのです。
 ところが「こんなくだらない番組を面白がっても、何の意味もない」という気持になる人が多いようです。しかしこの目的は「無気力な今の自分でも、この番組内容に関連することであれば、一応楽しんだり関心を持ったりできる」ということを確認することです。くだらないにせよ、ごく短時間ではあってもその番組を見ている間だけは、無気力状態から抜け出せたわけです。
 まずは意義があるかどうかではなく、少しでも楽しいとか面白いと感じるか、を大切にしましょう。
5.体を動かす
 テレビなどでは楽しめない、という人でも試してみてください。それは体を動かすということです。まずは散歩が手軽なのでお勧めです。外に出る気力もないというなら、室内でちょっとしたストレッチなどをやってみましょう。無気力状態といっても体は正直です。適度にやると、やった後に少しだけ心も体も楽になります。ただし体を鍛えるためではないので、ほどほどで十分です。そしてこれを日常生活に取り入れましょう。
6.その次のステップのために
 いろいろ書きましたが私が言いたい要点は次の二つです。一つは自分の感覚に素直になること。無気力を抜けだすために必要なのは「がんばろう」といいったやる気ではなく「退屈だ」と実感することです。退屈だと感じると、誰でもつい何かをやりたくなるものです。それを利用して、身近な「退屈しのぎ」をしてみるのです。
 もう一つは「体を動かしてみる」ことです。理想を言えば、ラジオ体操のように決まった動きではなく、自分の感覚が望む形で体を動かしてみることですが、それだとかえって難しく考えてしまう人も多いので、代わりに散歩とか自己流のストレッチを勧めたのです。
 言葉遊びのようですが、私は動物というものは動きたがるように出来ているのだと考えています。もちろん人間も動物です。ですから自分では無気力だと思っても、やがて何らかの動きをしたくなるものです。
 このとき大事なことは、「そんなことをしても意味がない」などといった理屈をこねて、自然に生まれる動きを自分で止めないことです。

 


大きな決断は急がないこと

    

どんな人でも、人生での大きな決断を考えるときが必ずあります。どんな選択が正しいのか、それは誰にもわかりません。特に将来が見通しにくい今の時代ではなおさらでしょう。
それでも、心がけた方がよいポイントがあるはずです。その一つは「本来の自分と違う状態での大きな決断は急がない」ことてしょう。
 心療内科を受診する人は何らかのストレスを抱えている人が大半です。残業ばかりで体が持たない、上司のパワハラで気持が萎える、同僚の態度が我慢できない、クラスで孤立して居たたまれない、恋人に裏切られて心が荒む・・・。このため退職や退学、離別といった、大きな決断をするつもりだと語る方も少なくありません。
 そんな人に対して、私は「決断を少し待つように」と伝えることがよくあります。それというのも、強いストレスの中では、本来の自分なら選ばない決断をすることが少なくないからです。
 「職場を辞めるつもりだ」と語る患者さんの場合ですと、私の「先ずは体調を戻すことを優先しましょう。職場をどうするかは、その後にしませんか」といった「決断後回しの提案」に応じてくれた患者さんの半分以上が、その後職場に留まることを選んでいます。私は「辞めるな」とか「辞めろ」といった提案は基本的にしないので、その人たちは自分で「辞めないこと」を選んだことになります。
 このように、時間が経過し体調が改善すると、その決断内容も変わることが良くあるのです。
もちろん半分近くの人は時間が経過しても結論が変わりません。多くは以前から退職を考えていたり、退職後の具体的な展望がある人です。こんな人は一時的な心身の状態と無関係に下した決断なのて、時間が経過しても変わらないのでしょう。
体調が急に悪化しているとき、そして辛い、苦しい、腹が立つ、居たたまれない、という感情に苛まれている状態での決断は特に控えるべきでしょう。

 


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